Sweet kiss〜眠り姫は俺様王子に捕まりました。

「もう少し……したい、です」

 そうお願いされると思ってなかったのか、先輩は珍しく、顔を少し赤らめていた。

「んな可愛いことを。――なら、もう少しだけするか」

 そう言って、再び塞がれる唇。今度は最初から深いキスで、先輩の舌が入ってくる。そのキスは、今までで一番深くて。頭がぼぉーっとなるのに、もっと先輩を求めてしまう自分が居た。
 次第に、呼吸が苦しくなる。でも、心ではこの行為をまだやめたくなくて。苦しくなるギリギリまで、私はこの行為に溺れていた。

「…っ、……はぅ、んんっ」

 さすがに……そろそろヤバいかも。
 呼吸が荒くなった私は、先輩の胸を叩いた。すると、キスは穏やかなものへと移行して。また、ついばむようなキスになり、時々、深いキスをはさむ。それを数回繰り返して、ようやく、先輩は唇を離した。

「――悪かったな。ちょっと調子に乗り過ぎた」

「だ、だいじょう、ぶ。――私も、夢中でした、から」

 今はまだ、この先をするのは怖い。でも、今みたいな感覚が続くなら――。

「いつか……この先のことも、したい、です」

 そう言えば、先輩はぎゅっと、私を抱きしめてくれた。

「――ありがとな。その言葉だけでも充分うれしいけど、本当に無理はするなよ? オレはちゃんと待てるから」

 今はキスまでしか出来ないって思うのに、それがもどかしい気がして。待っててくれるのはうれしいけど、私はちょっとだけ、この先に進みたいと思ってしまった。

 *****

 真白たちから和泉の名前を聞いた時には驚いた。まさか、直接仕掛けてくるとは思ってなかった。しかもオレの音声って……本当、どうやって作ったんだよ。

「先輩は……和泉さんと、したんですよね?」

 キスを終えた真白は、そんなことを聞いてきた。
 ここは、正直に言った方がいいだろう。

「あぁ。確かに、アイツとは一度やった」

「そのう。先輩って、性欲が強いんですか?」

「まぁ、それなりにはな。けど安心しろ。ちゃんと待っててやるから。オレに合わせようとか、そんなことは考えなくていいからな?」

 こうでも言わないと、真白は気にしそうだからな。そういうことは、真白のペースでいいんだと言い聞かせた。

「で、でも。――今日は、もう少し先を」

 またキスでもせがんでくるのかと思えば、真白の口から出たのは、

「胸、とか。――触って、みますか?」

 と、意外な言葉だった。
 今日の真白は、いやに積極的だ。さっきも自分からキスしてきたし、もっとしたいと言ったり。その様子に戸惑っていると、真白はブレザーを脱ぎ、ネクタイを緩めた。そして、シャツのボタンに手をかけ始める。

「――先輩は。嫌、ですか?」

 そう言う真白の顔は赤くなっていて。潤んだ瞳が、オレの欲望に火を付けた。

「んなことされたら――マジで直接触るぞ?」

 そう言って、オレは真白を押し倒した。
 大切にしたい。大切にしたい、けど。ここまで迫られて、何もしないのもどうかと思う。

「本当に――触っていいのか? 無理してないか?」

「無理は、してません。――すごく、ドキドキはしますけど」

 そんなの、こっちだって同じだ。オレだって今、平静をよそおうので精一杯なんだから。

「真白が触ってほしいって言うなら、本当に触るぞ?――でも、少しでも嫌だと思ったら、ちゃんと言えよ?」

 頷く真白。ゆっくりボタンを外すと、シャツを開き、下着をたくし上げた。

「や、やさしく、お願いします」

 そう言って、真白は目をつぶった。

「それじゃあ――触るぞ」

 まずは、ブラの上から。ゆっくりと揉むように、右手で左胸に触れれば、真白は小さく声をもらした。それを数回繰り返していると、慣れてきたのか、真白は目を開けた。

「今度は――直接触れても大丈夫か?」

 頷くだけで答える真白。それを確認すると、オレは、ブラをずらし指を滑り込ませた。

「ぅん、…っ、……はぁ、はぁ」

 徐々に、真白の息が荒くなる。それに比例するように、オレの息も、次第に荒いものへと変化していた。

「お前っ、意外と胸、大きいな」

「お、大きなのは、嫌いですか?」

「そこにこだわりはねぇーよ。――なぁ、真白」

 こんな姿を見てしまえば、また、キスがしたい。そう告げれば、真白も同じだったのか、私もです、と目を潤ませていた。
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