Love Box:)
「でも酔っ払って寝ちまうんだもん。ムカつくよな、人の気も知らないでって、思ったよ」
『すいま、せん…』
今更になって自分の失態が恥ずかしくなる。
それでも井上さんはフワリ、笑って、いいよ、と甘く囁くと、私の頭を抱き寄せた。
「たださ、この寝顔で他のやつの夢見てるのかなー、とか、俺のことなんてたいして知らないんだろうな、とか思ったらますます虐めたくなったよな、」
そんな事を言いながら、私の頭に顎を乗せて、好きだ、なんて掠れるくらいに小さな声で呟く。
頭を固定されたままの私は逃げ場を失い、それだけで体に熱が籠もる。
『すれ違い、でしたね』
その場しのぎにそんなことを口にしてみる。
でも、その囁きも香る色香も、もう限界で、気絶しそうだった。
いつも見ていた井上さんと今の彼のギャップと、この信じがたい状況に頭も心もついていかない。
(…やっぱり、私は変化についてけない女だ、)
今度は私も、幸せな苦笑をこぼした。