Love Box:)
あたしとたっちゃん。
正確にはみちるっていう1人の女の子と、達矢っていう1人の男の子。
そんなことくらいわかってた。ちゃんと自覚はあったのよ。
多分あたしが悪かったのね。
その日は湿った空気が狭い部屋を満たしていて、窓の外は灰色でいっぱいで、シトシト雨が葉に当たる柔らかい音が分厚いはずの家の壁を通して聴こえていた。
たっちゃんはヘッドフォンであたしの知らない洋楽を聴いていて、そのゆるりとした曲調が音漏れしていた。
(…はぁ、はぁ、)
酸素を吸ってもちっとも欲求は満たされなくて息はあがるばかりだった。
苦しくなるほどに優しいはずのおもての雨音は激しくなったように感じる。
あたしはまるで、たとえばそうね、二酸化炭素を求めていたんじゃないかしら。
『…たっちゃん』
読んでいた本を床に落として、喉と肺の間を押さえながら、ベットに座る彼をみあげた。