もしも雪なら
未知
「こっからじゃムリだな」
上を見れば、一面に広がる群青の空。
下を見れば、隙間がないくらいの電飾の光。
その年に見れると言われた流星群は、一筋たりとも目の前に現れてくれそうになかった。
向こうはスゴイんだろな。
俺はビールを片手に、北海道で見た流星群を思い出し、溜め息を一つ吐く。
そんな風に思いを馳せた所で、何ら変わる事のない現状。
連休と言う物があったのにも関わらず、何もしなかった自分を悔やむ事も、怒る事も出来ない。
唯一、出来ることと言えば
淡々と過ぎつつある日常の中で酒を飲むだけ。
寒っ…
毎日なんて、そんな感じが丁度いい。
世間で何があったって、自分のペースがいちばん。
「なんだこれ」
ベランダの隙間に、ふわりと落ちてきた薄汚れた鳥の羽
「鳩か?」
夜でも居るんだな。
そう思いながら、少しだけ見上げた時だった。