もしも雪なら
どうしてこうなった。
夕方6時を過ぎ、テーブルにはお袋が作った食事が並べられ、俺は真ん中に座り、お袋は俺の右側に座る。
そして、天花が俺の膝にちょこんと座った。
さも当たり前のように。
そんな光景を見ても、お袋は至って普通に箸を進めていた。
天花と会話をしながら。
「苺、まだ早そうだったけど、酸っぱくない?」
「平気です」
「そう?ならいいけど、それだけで足りる?ご飯食べてもいいのよ?」
「大丈夫ですよ。ご飯は食べたい時があれば言います」
「遠慮しないでね?どうせ、ガクはゲームくらいにしかお金使わないんだし、少しくらい増えたっていいんだから」
「じゃぁ…苺、もう少し貰ってもいいですか?」
「はいはい」と言い、軽やかな足取りでキッチンへと向かうお袋を横目で眺めながら、俺はようやく箸を手にし、唐揚げを挟んだ。
すると、がしっと手を掴まれ、唐揚げが胸の辺りで消える…
「おい」
「んー?」
「…いや、いい」
もごもごとした口をしながら、上目遣いに見てくる天花に次の言葉が出て来なかった。
だって、ハムスターに激似だぞ?
笑っちゃうだろ。