もしも雪なら
― ちょいトイレw
― いってら~
逃げ込んだ仮想の世界。
ネットのオンラインゲーム。
狩りをしたり、生産をしたり、チャットをしたり、楽しみ方は様々。
そこでも俺は自分のペースを守っている。
誰にも左右されず尚且つ、自分の存在を位置付けしていく。
どう立ち回るか、とか、どう話すか、とかを常に頭に入れて動かしていた。
俺にとって、ゲームは誰かと遊ぶ手段でしかない。
トイレを済ました後、自室に飲み物がない事に気付き、冷蔵庫へ向かう。
その途中にある客室からボソボソとした声が聞こえてきた。
俺は思わず立ち止まる。
「ねぇ、アナタは誰なの?」
「さぁ…まだ、分かりません」
「じゃぁ、まだ若いのね」
「多分。…ガクちゃんと同じくらい…だと思います」
「そう…。でも、懐かしいわ…、私は大喧嘩して帰らせてしまったけど」
「…。うち、アタシは必要とされる限り居ますよ」
「そうよね。それがアナタのお仕事だものね。でも…」
「心配…ですか?」
「ううん。アナタはガクを連れて逝かない。
最初に見た時から分かっていたわよ。じゃなきゃ、こうして生活を共にしないわ」