もしも雪なら
お袋は最初から天花を知っていた?
いや、昔からその存在を知っていた。
まさか…
― ただいま
― おかえりw
― ねね
― ん?w
― ちっさいオッサンて居るのかな?w
― なにそれww
― ほらw芸能人とかよく見るって話し聞くじゃんかw
― あんなん都市伝説でしょww
― だよなww
普通、そうだよな。
妖精とか小人とか、誰かが勝手に作り上げた偶像だろ。
天使も偶像…
その存在を確かめたくても、身内しか知らないんじゃどうにもならない。
偶像だとしたら
いったい、何の為に天花は作られたんだ…?
不意に背中に温もりを感じ、それは直ぐに天花だと分かった。
「おい…」
「偶像ちゃうしっ」
「いいから…」
俺は首に回された天花の手を少し乱暴に払う。
が、それでも天花は首に手を回してくる。
「偶像だったら良かった?」
「いいって…」
「ホントにそう思ってる?」
「思ってるよ」
「嘘ついてない?」
「もういいっつってるだろ!」
繰り返すうちに、天花の手を思いっきり払ってしまった。