もしも雪なら
「おい…」
「はいっ」
天花は呼びかけた声に身体をぴくんとさせ、姿勢を正して目を丸くさせた。
「おいで」
俺がそう言うと、直ぐに嬉しそうな顔になって膝に座る。
自分の感情が何なのかはまだ分からない。
でも、傍に居ると言う事は自分が必要としてるからで
その理由は丁寧に解いて行くしかないのかもしれない…
「ガクちゃん」
「ん」
「ガクちゃんは優しいね」
「っ…うるさい」
いきなり変な事言い出すからむせた。
胸の辺りで天花が見上げてたが、見ないようにした。
そしたら「照れてる」なんて言い出すから、余計に目線があちこちに飛んで、収まりがつかなくて
「照れてねぇし」
なんてムキになったら、天花がクスッと笑った。
「鼻で笑うなし」
「笑ってないもん」
「ハムスターめ」
「なにそれ」
「そのまんま」
「似てないしっ」
「そっくりだし」
「うるさい。照れてたクセに」
子供みたいな顔に小さな身体、それに似つかわしくない大きな羽根。
中身も子供っぽいけど、成人した大人の証拠もある。
「お前…意外と胸あるな」