もしも雪なら
「なに…これ…」
「ごめん、ガクちゃん…アタシ…天使失格だ…」
それは、直接脳に送り込まれたみたいに
幾つもの映像がフラッシュバックして
テレビの電源を切ったように、ぷつりと音を立てて
真っ暗になると同時に、天花が手折れていくのが見えた。
「千梛……?」
そう自然に口にしていた。
でも、それは携帯電話の音で一瞬にして浚われてしまった。
親友の名前が画面に表示されていて、それを見た俺はなんだかホッとする。
「もしもし。どした?」
「どうしたじゃねぇよ。近くまで来たから寄ってみたら、仕事終わったって言うから待ってんのに、お前なにしてんの?」
「…片付けとか色々。今降りるよ」
話し声で目を覚ました天花がゆっくりと身体を起こし、両手をぴたりと地面に着け、肩で息をしている。
その様子から、飛ぼうとしてるのが分かった。
「無理だろ。ほら乗りな」
「けど…」
「隠しても意味ないだろ」
「ありがと…」
なんで
前より軽くなってんだよ。