もしも雪なら
「イケメンだと得だよなぁ」
「何がだよ」
「んー?可愛い天使が着いて、食べるもんも手軽でさ」
「損とか得の問題じゃないだろ」
「まぁな」
親友の智は高校の時からの付き合いで、俺に何があっても唯一離れて行かなかったヤツ。
智には何でも話せたし、話せるから、こうして酒を飲む事も珍しくない。
ついでに言えば、近い内に天花の事を相談しようと思ってたから、わざわざ呼び出す手間が省けて良かった。
智は天使の事を知ってるらしいし、話しが早そうだ。
「さっきさ…」
「んー?」
「智が職場に来てた時」
「あぁ。それがどした?」
「あの時、天花に抱きしめられて、頭ん中に色んな映像が流れて来た」
「それで?」
「途切れて、名前呼んでた。千梛って」
聞いるはずの智が黙り込んだ。
ゼリーのビニールのフタに必死になってる天花に笑いかけ、ゼリーを受け取ろうとしたのを俺は奪った。
「なに?ヤキモチ?」
「は?」
バカにされた気がして、思わず声が大きくなる。
でも直ぐに後悔した。
「悪い…」
「ガクさ…それでいいの?」