もしも雪なら
突き刺すような静寂が支配しようとしていた。
それを打ち消すように智は口を開く。
「ガクはさ、結局逃げてんだよ。
言う事は正論かもしれんけど、それが絶対なんて決めんな。
そりゃ、結果は泣くか笑うか、どっちかだって分かるよ…
でも、その過程はどうすんの?
もう面倒だから知らないって逃げたんだろ?」
何も言い返せなかった。
と言うよりも、言い返す隙すらない。
「付き合ってたんだろ。千梛って子と…
でも別れた。お前、あんなにゲームしてたのに減ったしな。
だけど辞めてない。
辞めろ。なんて言わねーぞ。
でも、それでいいのか?」
「もうどうにもなんねぇだろ…」
そう言い返すのが精一杯で
天花に見せられた映像と智に言われた事がぴったりと重なって、記憶としてはっきりと甦っていた。
それは、半年前に固く閉じた記憶。
取り出せないように奥の奥の、また奥の方へ押し込んだ。
忘れた。と無意識の内に…
「ちゃんと向き合った方がいいぞ。…タバコ吸ってくる」