もしも雪なら
酔っ払ったか?
たった一本でないだろ。
そんな事を思いながら部屋に入ると、見たことのない女がコタツの前に、ちょこんと座り込んで居た。
俺が「誰?」と尋ねる間もなく、その女はビールを手にして口にし、直ぐにこっちを向く。
涙目にへの字口、頬も少し膨らんでいて、見た目がもろハムスター。
人んちのビールがそんなに美味いか。そうか。
なんて余裕があるはずもなく…
「待て!飲め!飲み込めっ」
状況から判断して、女が飲めもしない酒に戸惑っているのが分かった。
それを証拠に女は俺の言葉に力強く頷き、意を決して
吐いた。
「お前…」
「無理」
「だからって吐くなよ…。あーぁ、もう。洗うからどいて」
俺は女が誰なのか、何者なのか、聞くのも忘れ、起こった状況を淡々と処理して行く事で手一杯だった。
丸いコタツのテーブルを床に傷つけないように置き、コタツ布団を剥がし、再びテーブルを戻す。
ただのテーブルになったのを広いソァーで座りながら、女はじっと眺めていた。
なんか言えばいいのに。とも思ったが、こんな状況では話しにならないのは自分でも分かっている。