もしも雪なら

それから数日間、天花が目を開ける事はなく、今日で4日目になる。

どれだけ大声で呼んでも、大袈裟に揺さぶっても、起きてくれそうもない。

が、胸を上下させ、微かな呼吸も感じられるから死んではいないらしい。


そもそも、天使に生死なんかないのかもしれないが…


一方の俺はと言えば
、旅行の準備を済ませ、智が来るのを待っている。





「ガク?入るぞー」


「おう」


「まだ寝てんの?」


「そ。起きる気配すらなし」


「そか…それでも行くのか?」


「ただ起きるの待ってるよりいいだろ」


「まぁな…」





記憶が戻った日の夜、ネットで航空チケットを取った。

そして今日、俺は北海道に行く。
アイツ、千梛に会う為に。





「そろそろ出るわ」


「おぅ」


「…」


「心配すんな。消えねぇよ。…まだお前は必要としてんだろ?」



「…行ってくる」






待ち受ける出来事が最高になるか、最悪になるかは計り知れない。

でも、きっちりと刻み込まないと同じ事の繰り返しだ。
< 30 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop