もしも雪なら
それから数日間、天花が目を開ける事はなく、今日で4日目になる。
どれだけ大声で呼んでも、大袈裟に揺さぶっても、起きてくれそうもない。
が、胸を上下させ、微かな呼吸も感じられるから死んではいないらしい。
そもそも、天使に生死なんかないのかもしれないが…
一方の俺はと言えば
、旅行の準備を済ませ、智が来るのを待っている。
「ガク?入るぞー」
「おう」
「まだ寝てんの?」
「そ。起きる気配すらなし」
「そか…それでも行くのか?」
「ただ起きるの待ってるよりいいだろ」
「まぁな…」
記憶が戻った日の夜、ネットで航空チケットを取った。
そして今日、俺は北海道に行く。
アイツ、千梛に会う為に。
「そろそろ出るわ」
「おぅ」
「…」
「心配すんな。消えねぇよ。…まだお前は必要としてんだろ?」
「…行ってくる」
待ち受ける出来事が最高になるか、最悪になるかは計り知れない。
でも、きっちりと刻み込まないと同じ事の繰り返しだ。