もしも雪なら
トントン―
テーブルを指で叩く音に視線を戻す。
すると千梛は笑い、身振り手振りしながら
『ガクちゃんのせいじゃないよ。喉弱いのにタバコ吸ってたから』
アホかよ…
そんな子供騙し、通用するワケないだろ…
「お前、本当アホだな…」
頭で思ってる事が言えたら、どんなにいいか…
笑ってる千梛に、俺はからかう事しか出来なくて
何をしにここまで来たのかすら忘れそうになっていた。
そんな自分を救ってくれたのは千梛。
トントン―
『ありがと』
「…え?」
『会いに来てくれたんでしょ?だから、ありがと』
いつだって千梛は俺の隠してる事を先回りして、直球で投げてきたよな…
最初はそれが不思議で、少しずつ想われてるんだなって感じて
「お前…」
続きを聞こうともせず、千梛は『内緒』と言う仕草をし、口にチャックするジェスチャーをして首を振った。
その顔は平然としていて、別れた時の自分を見ているようだった。
これが仕返しなら、俺は甘んじて受け入れる。
何もかもが今更だしな…