もしも雪なら
初雪
あれから一年が過ぎ、変わらない日常だった。
同じ季節に同じ月。
今年こそ流星群を、とベランダに出てみたが、見えそうにもない。
ビールでも飲みながら夜景を眺めたいところなのに、予定を入れられたお陰でそれも出来ない。
まぁ、その予定の席で飲むけど。
あれ以来、俺は合コンに誘われるようになった。
噂は噂の域を超し、どこでそうなったのか、痛い独身男性というレッテルが貼られているらしい。
そんな事はどうでもいいし、合コンに何かを求めてるワケじゃないし
ただ飲んで騒いで、楽しく過ごす。
それだけ。
「よし、これで揃ったな。じゃ、乾杯!」
「かんぱーい」
「ねー、自己紹介してよー」
「まずは女子からだよなぁ」
「えぇー」
「ほら早く」
「じゃぁ…アタシから!えっと…」
店に入ると、自分が最後だったらしく、席に着いた途端に始まりの合図。
取りあえず目の前にあったジョッキで輪に加わった。
おそらく、世の中では〈キレカワ系〉の部類に入るであろう三人の女子、その女子の自己紹介をなんとなく聞いていた。
確か、左からミナ、マキ、ユカだった気がする。