もしも雪なら

「ね、どっか行かない?」


「ん」




気付けば周りのヤツらはフェイドアウト。
心なしか店内も閑散としていた。




「行こーよ」


「ごめん。明日、仕事あるから」


「えー。じゃぁ、今度どっか行こ?」


「機会があればね」





少し酒が回って来たせいで上手く対処出来なかった気もするが、仕方ない。

何にも感じられないし…



店を出て、タクシーが通るのを待ってると、女は後を追ってきたらしく、俺の隣に立った。




「なに?」


「一緒に帰ろ。タクシー代も安くなるし」





いやいや、ないだろ。と心の中でツッコミを入れながら、どうしようか考える。

こんな経験は嫌ってほどしてきたし、据え膳喰わぬはナントやらもして来たけど…


そう言うの、疲れるだけなんだよな





「あのさ…」


「ん?」


「外人好きなんだよね、俺」


「え。あ、そうなんだ。そっか…」






さすがにそのセリフが効いたらしく、女は繁華街へと去って行った。


でも、嘘はついてない。

男女問わず、人間は好きだ。

色んな人が居るから世界は面白いしな。
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