もしも雪なら

過ごしてきた月日

ふと取り出した記憶

堪えきれず、携帯を鳴らしていた。


久しぶりに掛けた番号。

耳に響くコール音が緊張を誘う。



ぷつっとした音に心臓が跳ねて

「もしもし」と言う声が上擦ってしまった。


向こう側で鼻で笑うのが聞こえて
まだアイツの番号だったんだな。と胸を撫で下ろす。




「もしもし、俺。ガクだけど」





けど、肝心な声は聞こえて来なかった。

それでも繋がったことが嬉しくて
繋がっているのが幸せに思えて



時間も忘れて話した。


合コンに行った事

クリスマスにケーキを2ホール食べた事

初詣で大凶が出た事



それから、忘れもしない出来事。

よく似た天使が居た事も…



話してる間

声を聞けることはなかったけど

ちゃんと耳を傾けてくれてる様子だけは分かった。



そんな話しをした後、暫く沈黙してると充電切れの音がして



何も言えないまま電源が落ちた。
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