もしも雪なら



そして朝がまた来る。



重い身体を起こし、携帯を充電器に差し込み、電源を入れる。

歯を磨き、髭を整え、顔を洗って、髪の毛を纏める。



それから、ソファーに座ってタバコに火をつけ、一息吐きながらテレビを見る。


そうやって自分のペースに戻していく。



日常なんて、そんな感じでいい

世間で何があっても


昨日のことは蒸し返さない

明日は明日の風が吹く。






もうすぐ春だな…

早く桜咲かねーかな






職場に向かいながら、そんな事を思う。



その季節はもうすぐだと言うのに

雨が降り、公園の芝生を小さく震わせ


肌を撫でる風はまだ冷たくて

空は灰色なのに街は賑やかで


誰もが何処かに向かって急ぎ足



それは将来かもしれない

あるいは未来かもしれない




その中で俺は、


将来は考えない

未来も深く考えていない



だけど、もしも…





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