もしも雪なら
「お前、なんなの?」
ゴクンとオレンジジュースを飲み込み、コップを口に着けたまま天花が目を向けて言う。
「天使」
「…なにそれ」
寝言は寝てから言え。
そう思った。
現に、天花は眠そうに揺れていて、今にもテーブルに頭をぶつけそうだった。
「だからぁ、天使ぃ。白衣の天使とか居るでしょぉ」
「看護士かよ」
「違うよぅ」
「・・・・」
なんか
物凄くムカつく。
勝手に飛んで来て、部屋に入ってビール飲んで、吐いて。
私は天使です。
そう言われても説得力がなさすぎる。
むしろ、説得力の欠片もない。
俺の目の前に居るのは、どこからどう見ても普通の人間。
髪は長いけど茶色だし、身体も華奢じゃないし、肌の色も人より少し白い程度。
それに、顔は童顔に見えるが、流暢に話す所から自分と同じくらいの年齢に違いない。
何より、真っ白い羽がない。
じゃぁ、さっき見た画面はなんだったのか…
俺は天花が寝てるのを確認しつつ、小さい手を摘んで見てみた。
指の形も、シワも指紋も普通だ。
しいて言えば、小指が短いくらいか…