じゃあさ、俺が教えてやるよ。
ドンっという鈍い音と共に、頬に激痛が走った。
口の中に鉄の味が広がる。
「…見損なった」
「柚と俺の関係を知っても、好きだって言えるのか?」
「俺はあんたと違って、柚自身が好きなんだ。…もう帰るわ」
乱暴に扉は閉められ、一人部屋に取り残される。
あの野郎…マジで殴りやがって……
ま、俺が原因か。
あともう一つだけ、やらなきゃいけないことがある。
「もしもし、南にい?」
「今日の夜、来れるか?」
「うん、行けるよ」
「…じゃあ、待ってる」
最後の夜が幕をあける。