じゃあさ、俺が教えてやるよ。
そろそろ、潮時だな。
「柚」
「なーに?南にい」
「これで練習は終わりだ。森のとこに…行ってこい」
「え…?」
何故そんな顔するんだよ…。
もうそんな顔、見たくない。
「南にい……どっか行くの?」
「…彼女が出来たんだ。だからもう柚を抱けない。お前のこと、見たくない」
「そっか…。南にい、かっこいいし彼女の一人や二人居るよね。…わかった。じゃあ…うち帰るね。ばいばい」
「ああ」
荷物をまとめている柚に背中を向け、テレビにスイッチを入れた。
数分後、バタンという音とともに、静けさが漂い始めた。
柚が居たという痕跡が至る所に残っていて、胸の中を黒い渦が巻いている。
………柚。