じゃあさ、俺が教えてやるよ。
横ですやすやと眠る彼女に、そっと毛布を掛けてやる。
この行為を始めて、もう二年。
俺は大学を卒業して大手スポーツ企業に就職し、彼女は大学二年生になった。
「…み……な…み、」
名前を呼ばれて近付くが、彼女は寝息を立てている。
寝言でも、名前を呼ばれると思わず顔がにやけてしまう。
彼女の名前は西宮 柚。
俺の幼なじみだ。
幼なじみだけど、漫画のように良い関係じゃない。
柚には好きな奴が居るんだ。
……俺じゃない、別の奴が。