じゃあさ、俺が教えてやるよ。
「兄貴の部屋、初めてだな」
「…何しに来たんだよ」
「だから、話があるんだって。それよりさ、喉渇いたから水貰える?」
相変わらずのマイペースさに、巻き添えを食いそうになる。
冷蔵庫からペットボトル二つを取り出し、一本を森に差し出した。
「で、何?」
「俺さ、柚のことが好きなんだ」
手に持っていたペットボトルが地面に音を立てて落ちた。
「…その様子だと、兄貴もか。兄貴相手でも、諦めねえから」
「…好きにしろ」
自分の気持ちを落ち着かせるために、わざと大袈裟にソファーに座った。