それって、それって、どういう意味?

「北海道かぁー…遠いねぇ…」



そう言った自分の声が、思ったより弱くて、慌てて、

「まあ、でも全然会いに行くけどね!」

と付け足した。




それでも、やっぱりそれは強がりで、本当はちょっと泣きそうだった。




「……寂しくなる、ね」



ぽろりと出た本音。



ああ、言っちゃった。





重いと思われたくなくて、ずっと押し殺して来た言葉。


言っちゃった。





君の瞳が、あたしを捉える。


恥ずかしくて、目を背けた。


真っ黒のコンクリートがなんだか悲しかった。








「……いっそ、北海道にしちゃえば?」



「……え?」


顔を上げる。


「大学。」


「あたし? あたしの大学?」

「うん」


頷く君。



それって、え、つまり、え?



一緒の大学来いと?





どきどきどきどき

耳元で心臓が鳴る。




私は、君の目を見つめたまま、何も言うことが出来なかった。




*それって、それって、どういう意味?*


(そう聞ければ、私は、私たちは一歩踏み出せるのに)
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

今日は、いい天気だ。
キリナ/著

総文字数/1,098

恋愛(その他)4ページ

表紙を見る
部活後サイダー
キリナ/著

総文字数/450

恋愛(その他)1ページ

表紙を見る
とても微かな愛の言葉を。
キリナ/著

総文字数/3,461

恋愛(実話)15ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop