イマージョン
虚しい気持ちで駅に着いた。私は一体何がしたいのか。早く彼を忘れたい。濡れた鞄から手鏡を取り出し、自分の顔を確かめる。マスカラが落ちて睫毛が下がっている。アイラインが落ちて目の下がクマみたいなパンダみたいになっていた。煙草に火を点ける。煙草が湿気ってなくて良かった。煙を吐き出す度に虚しさが募る。最期の悪足掻きをした気分だ。人が、あそこまで変われるなんて、もしかしたら聖はアンドロイドかもしれない。ファンデーションを塗る男のアンドロイド。想像したら笑いが込み上げ、左手で口元を隠す。左手を持ち上げたら左腕が染みる様な感覚がした。火傷だ。でもこの火傷は夏に付けたものだ。傷跡が疼く。メイクも傷跡もみすぼらしい。惨めだ。早く傷跡が消えて欲しい。思い出してしまうから。私は人間なんかじゃないのに何故傷跡が付くのだろう。何故あいつの為に火傷をしたのだろう。1番馬鹿なのは私だ。頭の中にBLOODの
"Rain"が流れて来た。この歌詞は私の為にあるの?駅のホームで鳴り止まない雨音を聴きながら、気付けば肩を震わせ泣き笑いをしていた。
"もう逢えない"
そのフレーズが何度もリピート されながら。
"Rain"が流れて来た。この歌詞は私の為にあるの?駅のホームで鳴り止まない雨音を聴きながら、気付けば肩を震わせ泣き笑いをしていた。
"もう逢えない"
そのフレーズが何度もリピート されながら。