イマージョン
「…ちゃんて上手いよね」
ミランさんがしてくれた腕枕で、私は黒いシャンデリアを見つめている。夜景が綺麗な高級ホテルなんて縁が無かったから眠れずに星空みたいなキラキラした光の虜になっていた。ミランさんが私と逢う為に用意してくれた場所だ。光に夢中になり過ぎて、いつの間にか宇宙の星星の事まで想像していたら話しかけられた気がした。
「何?隊長」
「逢った時まで隊長って言わないでよ」
うんざりした顔でミランさんは続けた。
「今はゲームじゃなくて現実なんだからさぁ。」
「いや、癖で」
「僕の話し聞いてた?」
「いや、宇宙に行ってたから。このシャンデリア宇宙を感じない?」
「宇宙…??チャットしてる時から思ってたけど、やっぱりRiaちゃんて変わってるよね」
「多分、人間的思考がないから」
「おもしろいねぇ」
私から見れば人間のが摩訶不思議だけれど。好きと言う感情があっても無くても男に抱かれる事に対しての違和感を持たない私が摩訶不思議なのだろうか。と言うか、好きとか嫌いとか、もう分からない。感情が分からない。だから前々から私に逢いたいと言っていたミランさんとも普通に逢っていて今がある。Riaと言う、ゲーム上の名前は、この戦争ゲームがリアルであって欲しいという安易な考えで付けた。簡単に人間を消す事が出来れば良いのに。私の力はパワーが要るから。日々願って止まない。
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