イマージョン
「あのゲーム、女の子、ほとんどやってないのに珍しいよね」
「んー…、ストレス解消になるから。気持ちいい。撃ち殺しまくるの」
「上手いよねー。たいがいとっこんでるよね」
「早く殺したくて。スナイパーはたまにやるけど、じっとしてらんない。狙ってた獲物が一撃でヘッドショットは快感だけど、スナイパーやる時は割とストレス溜まってない時」
てっぺんが黒になっている黄金色の髪を撫でながらミランさんは微笑んでいる。また髪を染めなくてはと思い出す。何故、髪は伸びるのだろう。何故、爪は伸びるのだろう。何度中指と人差し指のネイルを塗り直しただろう。ミランさんの手の温もりに心地良くなってはいけない。酒だ。酒を呑もう。私は裸のまま、冷蔵庫からビールを2缶取り出した。今日初めて顔を合わせたミランさんの前で、躊躇無く裸でうろつく私にミランさんは目を丸くしていたのは分かっていた。けれど、私の中身は機械であって人間の皮膚が覆ってあるだけである。皮膚の中を見られる方が恥ずかしい事だ。
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