イマージョン
また宇宙的に感じてしまった。でも今の時点では恐らく人間の存在は無いその空間の事を考えたら私は宇宙にトリップしたくてたまらなくなった。星にならなくてもいい。チリで構わない。誰も私を構わないで欲しい。ただただ漂っていたい。このまま、全裸のまま。空気など無くても生きていける。私はもう死んだのだから。
「Riaちゃん、食べる?」ふっ…と私はまた、鼻で笑い微笑む。ミランさんは嬉しそうにしている。勿論私は食物を必要としていない。首を横に振り、
「ミランさん」
「何?」
「悪気は無いんですね」「何が?」
「奥さんに怒られますよ」
私が異空間に行っている間にミランさんはカルボナーラをオーダーしていたらしくフォークに一口サイズに巻かれたパスタを左手に持って私に差し出していた。逢った瞬間から分かっていたけれど、銀色のフォークよりもミランさんの左手の薬指に光るリングの方が光り輝いていた。私は、そろそろ下らなくなっていた。
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