イマージョン
寒い。冬だからでは無くて悪寒。ゾクゾク身体中の震えが止まらない。フラフラする。天井が歪んでいる。朝、仕事行くまでは普通だったのに何となく頭が痛いと思っていたら一気に具合が悪くなった。脇に挟んでいた体温計が鳴る。は?40℃??体温計が壊れてるのか?数字を見たら余計具合が悪くなる気がして、生命の危機を感じた。「インフルエンザかもよ。病院行きなさい」普通の風邪で40℃出るって多分無いよな…。幸いにも歩いて行ける病院が有る。母親の言う事を聞いて、酔っ払いの様な千鳥足で病院へと向かう。病院に着くと結構な数の患者達が居る。それを見て一瞬意識が遠のく。早く呼ばれないかな。このままだと、ぶっ倒れるぞ。あ、倒れた方が早く診て貰えるかもしれない。内科だから何処かしら具合が悪くて此処に来ているだろうに何故他の人達は具合悪そうにしていないのだろうか。段々苛々して来た。具合が悪いのに怒りの感情が沸々と湧き上がり短気な性格が輪をかけて短気になる。大して具合悪くないなら病院来るな!病院ってのはなぁ、具合が悪いから行く場所なんだよ馬鹿野郎!自分の勝手な妄想なのに勝手に怒って、また熱が上がりそうだ。やっと名前を呼ばれ、ちょっと痛いですよーと、鼻の奥深くに長細い綿棒の様な物を突っ込まれた。半端無く痛くて涙が自然と出る。早く終わらせてくれ。ちょっと所じゃないじゃないか先生。「うん。インフルエンザですね」ものの数分で結果が出た。これ飲めば、すぐ楽になりますよー。と、タミフルと吸入式のリレンザを渡された。会計を済ませ、早く帰って薬を飲みたい一心で早歩きの千鳥足で家まで急いぐ。タミフルを飲み、リレンザの粉で噎せかえり、氷枕の上に頭を乗せ、ベッドに潜り込んで落ち着きを取り戻した。冷静になり、さっき病院の待合室で居合わせた人達に、さっきは変な妄想して御免なさいと妄想した。昨日は舞と楽しかったのに今日は散々だ。 でも仕事が無い昼間を久しぶりに味わえて嬉しい。インフルエンザだから1週間は休まなければいけないだろう。仕事が気になるけど、叱られる事無く、ずっと寝ていられる方が嬉しい。病気になると親は優しくなるし。あんな空気の悪い人混みで仕事しているから、こうなったんだ。来年は予防接種に行こう。今度はちゃんとリレンザ吸えます様に。微睡みながら、熱がある脳みそで
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