ｲﾏｰｼﾞｮﾝ

「あ、おはよー。よく寝れた？」
「うん、眞奈が居てくれたから…」ﾊｼｺﾞに注意しながら返事をした。
それを聞いて眞奈はﾆｯｺﾘと微笑んだ。
「愛奈、まだ時間ある？電子ﾚﾝｼﾞ借りていい？」
「だいじょーぶだよ。あっ、朝ごはん眞奈、気がつかなくってごめん！眞奈いつも朝食べないから…」
「いーよいーよ気にしないで支度しててね」
ﾐｰﾄｿｰｽﾊﾟｽﾀをﾚﾝｼﾞに入れている間、私は窓際で朝の一服を始めた。学校…そう言えば自分の事で頭がいっぱいで気にしていなかった駄目な私…。
「眞奈、何の専門行ってるの？」
「うん？ﾌｸｼだよ。福祉。ゆーすけも一緒だよ」
「ちゃんと将来の事考えててほんと偉いよね。私なんて…」
「美夢は今見つからないだけだよ。無理に見つける事ないじゃん？」
また私のﾈｶﾞﾃｨﾌﾞな言葉をﾎﾟｼﾞﾃｨﾌﾞに変換してくれた。昨日の事と言い、普段からと言い、この子って完璧な人間じゃないかな。完璧な人間なんて居ないとか良く聞くけれど今、私の目の前で化粧をし、着替えを始めているこの子が世界中の中で、ただ1人の完璧な人間だと思う。神様なんて信じていないけれど神様と言う存在が有ったとしても神様より偉いと思う。そんな完璧な子が私の様なﾈｶﾞﾃｨﾌﾞで妄想癖で過食症で比較症で根が腐った奴の目の前に居るなんて！何て素晴らしい何て確率何だろう！宝くじで何億当たるよりも凄い事だ！私は凄い人に出逢ってしまった！
あっつ！そんな神より上を行く眞奈に気を取られていたら手の甲に煙草の灰を落としてしまった。しかし今は手の甲より心の方が熱い。熱いで思い出した。等に出来上がっているだろうﾐｰﾄｿｰｽﾊﾟｽﾀを食べなければ。