私だけの…
それから数日後
輝斗SIDE
俺が学園を後にしようと、門を潜ったとき。
「よぅ。市川く~ん。」
塀にもたれかかっている矢野がいた。
「なんだ。あんたか。」
「チッ…生意気なガキだな。」
周りには生徒がいる。
俺はここで暴力を振るえない。
どうすっかなぁ。
雅はまだ園内にいるだろうけど、瑠奈も一緒のはず。
あいつを呼ぶにはまずいよなぁ。
「用がないなら散れ。」
俺はただニヤける矢野を放置し、歩き出した。
「待てよ。」
俺は振り返った。
「用もねぇのにお前を待つバカがどこにいんだよ。」
片方だけ口角を上げる矢野。
まずいなぁ。ここで遣り合うわけにはいかない。