私だけの…
数分後
雅が来た。
「あれ、もう伸びてんの?」
鼻で笑いながら矢野を見た。
「こいつ体力なさすぎ。」
「ぷっ!だってよ?おっさん。」
そう言って雅は矢野の前にしゃがんだ。
「お前の狙いは何だ?」
雅が問うと、矢野はゆっくり立ち上がった。
「気づいてねぇのか?お前ら。」
口の端の血を拭いながら矢野は俺たちを見た。
「大体はな。でも、瑠奈は渡さねぇ。」
「ふっ。それはどうかな。」
「どういうことだ?」
矢野は答えず、フラフラの足取りで去って行った。
俺と雅は矢野の背中を見つめていた。
そして雅は俺のショットバーに来た。
「矢野の最後の言葉、どう思う?」
雅はカウンター席に座り、俺をまっすぐ見てきた。
「瑠奈を一人にしねぇ方がいい。」
「…あぁ。それに、あいつの単独行動ってわけじゃねぇ気がする。」