私だけの…


真由の元彼の哲さんが私を好き?


「でも私会ったことないし。」




「瑠奈は会っていなくても、矢野と夜出歩いていた哲さんと矢野なら、瑠奈を見かけていてもおかしくない。瑠奈は中1からキャバクラを出入りしていたんだから。」




「「っっ!!!!」」

「でも、隼人さんと哲さんがダチだったとしたら、隼人さんは何も言えねぇだろ。でも矢野は隼人さんを知らない。まぁ、仮に矢野も瑠奈を好きだとしても、隼人さんは…。」

そこで輝斗は口を閉じた。

隼人は、殺されていた。そう言いたいんだろう。


じゃあ、哲さんは真由と別れた今…。


「ごめん、私帰るね…。」

真由は目を合わせず立ち上がった。


「俺送ってくるわ。」

雅も立ち上がる。

「あぁ。」

二人が出て行くと、輝斗は煙草に火を点けた。


「輝斗…。」

「ん?」

「私、もうわからない。殺意も、寂しさも、友情さえ…。」

友達だった人が亡くなって笑えるなんておかしいよ。

私は殺したくてウズウズする。

でも殺してしまったら矢野と変わらない。


それはもっと嫌で…。


でもこのままってのも嫌。


お父さんに逮捕してもらうにも証拠がない。

本人が否認したらそれまで…。


世の中不公平だ。

犯罪を犯している人間が何もなかったかのように暮らしている。



証拠。そんなちっぽけなことに縛られて、苦しんでいる人だっている。


時効だって、いらないでしょう?

犯罪は犯罪なのだから…。

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