高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



「裏口で君らが実行するまで待ち受ける前に、もう一つこんなもん見つけた。未成年は、まーだ早いぞ」


柿田の手には袋に入った吸い殻。この吸い殻を目にした瞬間、若菜以外は浩人を含め全員罪を認め「すんません」と謝罪の言葉を発した。


「百均行くには禁煙席の前を通らないかん。窓際の先輩にはポケットに膨らんだもんが丸見えで怪しさ満載だったからな。一人だけトイレ行かなかったし、表情からも読みとれた。反省しとるか?」


「はい」
「はい」
「はい」
「はい……」


「君は?」


柿田が若菜に問うと、若菜は一睨みし、そっぽを向いて腕と足を組んだ。

「反抗期真っ盛りだな。まあいい、取り敢えずテーブルにある料理は全部食え。後はおばちゃんに謝ってキャンセルしといたから、代金は皿洗いと1日働いて返すんだな」

柿田が若菜の肩をポンと叩き、反省を示す条件を付け今回だけは事件にしない運びにした。


「気安く触んなセクハラ刑事」


「なっ!?生意気小娘がっ」


「おい柿田、行くぞ」


「あ、はい。ったく」


帰り際、学生の下手したら悪戯では終わらないトラブルを穏便に済ませてくれた2人にペコペコと頭を下げ、弱気な店員は感謝した。


彼に前田は「自分の仕事にはプライドを持て、簡単に頭は下げるな」と喝を入れ、柿田とは握手を交わし出て行った。


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