高校四年生(ラジオドラマ化決定!)
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中野北県立高校裏門前。
フリージャーナリスト遷崎徹が運転するビートルに乗り、桐生美玲に会うべく俺は退学したばかりの高校に再び訪れた。
校門に着くまでの間、俺は流れゆく景色を見ることなく後部座席で屈んだ自分の手をジッと眺めてるだけだった。
「どうした?」
遷崎が車から降りようとしない俺に心配して声を掛ける。
「あ、なんでもないです」
ドアを開けて右足を地面に付ける、それから何分経っただろうか――。
実際は1分程度だが、俺だけは10分以上固まった感覚がしていた。
足が拒否反応を起こす、この学校に入るのを身体が意志に反して拒んでいる。
あの教師達に会いたくない、
あの同級生達に会いたくない、
退学して直ぐに現れた奴を前にして歓迎する奴なんか、此処には居ない。
遷崎の次の一言が俺の行動を止めた。
「仕方ない、尚輝は待ってろ」
行かなくていいと
安堵した俺は最低だ
自分から切り出しといて……。
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中野北県立高校裏門前。
フリージャーナリスト遷崎徹が運転するビートルに乗り、桐生美玲に会うべく俺は退学したばかりの高校に再び訪れた。
校門に着くまでの間、俺は流れゆく景色を見ることなく後部座席で屈んだ自分の手をジッと眺めてるだけだった。
「どうした?」
遷崎が車から降りようとしない俺に心配して声を掛ける。
「あ、なんでもないです」
ドアを開けて右足を地面に付ける、それから何分経っただろうか――。
実際は1分程度だが、俺だけは10分以上固まった感覚がしていた。
足が拒否反応を起こす、この学校に入るのを身体が意志に反して拒んでいる。
あの教師達に会いたくない、
あの同級生達に会いたくない、
退学して直ぐに現れた奴を前にして歓迎する奴なんか、此処には居ない。
遷崎の次の一言が俺の行動を止めた。
「仕方ない、尚輝は待ってろ」
行かなくていいと
安堵した俺は最低だ
自分から切り出しといて……。
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