高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



遷崎に頼まれ、鞄に入っていたタオルとウェットティッシュを桐生美玲に渡した。


彼女は軽く頭を下げ、俺の手には触れず受け取った。


微妙に数センチ距離が空いていたから気にしたんだろう。汚れている自分に、俺が触れるのを無意識に拒否していると。


俺だって世間から見たら汚く見えるだろう。なんせ公園に入り浸っていたんだから。


泥だらけなだけであってフケが無いから、風呂に入ってないわけではなさそうだ。


ってことは、どうしていつも泥だらけなんだ?制服もよく見たらシミになっていて洗濯した形跡がある。


俺が余りに桐生美玲をジッと嘗めるように見てしまったからか、彼女は遷崎から貰った携帯を取り出し打ち込みメール画面を俺に見せた。


“泥以外に何か付いてますか?”


その一文を見て、つい俺は噴き出してしまった。


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