高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



「美玲、どうしても学校通い続ける気か」


俺を間に挟むように遷崎が、桐生美玲に問い掛ける。


彼女は失声症で話せない、テーブルに置いてある携帯を取り文字を打ち込み俺達に想いを見せた。

“迷惑掛けてるのは解ってます。けど一度逃げて想ったの、今立ち向かわなければ一生動けなくなる。だから私は明日も学校に行きます”


ズタズタに切り裂かれた気分だ、俺なんか立ち向かうなんて思ったことがない。どうせ誰も信用しちゃいねぇ、夢見るだけ無駄。学校なんて俺をゴミとしか見ていないから。


彼女の意志っつうか、揺るがない決意見てるとイライラする自分がいた。

あんなイジメ受けて何がしたいんだ、邪魔され続けてるんだぞ。普通じゃ接して貰えないんだぞ。

あんたが学校行く目的って何だよ、諦めなければ立ち向かえば、良いことあるわけ?


頭ん中でしか彼女を罵倒出来ない俺はイジメてる連中と一緒だと思った。

「もうモデルは興味無くなったのか?」


溜め息混じりに問いを続ける遷崎。桐生美玲の次の答えに目を疑ってしまう。


“モデルは諦めました。今は新しい夢があります、また明日からは三田村先生が居るから安心して下さい”


俺と遷崎は彼女の文章を読み、暫く言葉が出てこなかった。


桐生美玲は一礼して髪を乾かしに洗面台へ行った。



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