高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



遷崎は俺の顔を凝視した。庇うような発言が気に障ったのだろうか、俺は合わさらないよう視線が右往左往していた。


「一理あるか」と言って遷崎は携帯を手に取り、美玲がいる洗面台に向かった。


ドライヤーの音が止まると遷崎だけの声がリビングまで聞こえてくる。


「メール来てるが、三田村って教師とどういう繋がりだ?」

「また明日からって今まではどうしてた?」

「俺や桐生善三の話をしてしまったのか?」


一方的な質問責め、まるで娘を溺愛しすぎて男の影に逐一反応する父親のようだ。


時間にして一分弱、遷崎が黙りシーンと静まり返り、携帯のボタンを連打する音だけが伝わる。


「おい、待て美玲っ!」

静寂な世界を割るように桐生美玲が洗面台からリビングを駆け足で通り過ぎ、玄関まで行った。


「おいっ待てって」


追いかけるように遷崎も通り過ぎる。俺は全く状況が把握出来ず、ただただ呆然とするしか選択肢が無かった。


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