高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



「遷崎さん」


「誰からだ?」


一番近い場所の俺が、遷崎の携帯履歴を確認すると『美濃時雨』と記されている。


「みのう……しぐれ?って人からです」


「何、ジウか!ちょっ次掛かったら出て応対して……あーダメか、アイツはオレとイケメン以外とは会話しねぇし二回しか掛けねーし……タイミング悪ィなぁ」


歯をギリギリ軋めさせ、彼女と俺を交互に見る遷崎。明らかに電話の相手が重要だと俺でも解る。

「……っくそ」


出ていこうとする妹か重要な電話の相手か、遷崎は苦汁の二者択一を強いられた。


履きかけた靴を脱ぎ、リビングに戻って俺から携帯を受け取る。


電話の相手を選んだ。
その姿を瞳に刻み込まれた桐生美玲は、背を向けて玄関のドアを開けた。

俺は後から考えたら無意識、無我夢中という理由付けをすることになる飛び出した桐生美玲を追い掛けた。


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