高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



風呂上がりだからだろうか、桐生美玲の歩いた道を辿るように歩いていると、爽やかな香りと長く綺麗な髪が空気を撫でている。


流石はモデル、泥を落としただけで、ただ歩いてるだけで後ろ姿だけで美しくオーラがあった。


こんな時にそう思うのは不謹慎なのだろうか。嫌なことがあったり、悩んだりしてる時こそ、美しいものに惹かれるのは人間の本能であるとどっかのラジオDJが言ってた気がする。


恋が臆病になってたのにな、感情には逆らえないのかな。


「え……此処?」


徒歩数十分程度、漸く辿り着いた遷崎の契約で仮住まいとなっている桐生美玲の自宅アパートの一階玄関は、泥と中傷の貼り紙に塗れていた。


俺は衝撃の現状を目の当たりにして言葉を失うと同時に心が掻き乱れ、言いようのない感情が奥底で沸々としていた。


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