高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



バケツ一杯に泥を詰め込んでドアにぶちまけたような散乱風景だ。


何度かスポンジや雑巾などで擦った跡がある、汚れが染み込んで取れない状態だ。


ということは一回限りではない、幾度かに渡って……いや毎日だとしたら声を失うほどの衝撃は優にあり得る。


俺だったら外に出る勇気もないし、学校に通う気力もない。例え出て行ったとしても、こんな惨劇の自宅には二度と帰りたくない筈だ。


「非道い、いくらなんでもやり過ぎだ」


呆気に取られている俺とは、真逆に平然として彼女は鍵を回し開けた。


「なあ、どうして君は……歩いていけるんだ?こんな目に合わされて」


訊かずにはいられなかった。何が彼女を動かすのだろうと――。


“生きてくには動くしかないから”


俺は俺が醜く見えた。


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