高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



例えば、1人の男がイジメを受けていた女の子を庇ったとしたら。


例えば、イジメが原因で声を失った女の子を献身的に守っていたとしたら。


例えば、その女の子が次第にその男だけに心を許し始めたとしたら。


「例えば、それが全てその男の計画の一部だとしたら。君はどう思う?」

「てめぇ……まさか全て仕組んで」


「女子高生はいいなぁ。若くてピチピチしてて、柔らかいしよ」


「ざけんなっ」


俺は一瞬、理性を失い三田村に掴み掛かった。胸倉を握る手は怒りで震えている。


何年振りだ、他人の事で感情が抑えきれないほど腹が立ったのは――。


「おいおい、やはり子供だな。どんなことにも殴らないんじゃなかったのか。暴力は犯罪なんだろ?薄っぺらい信念だったな、殴れよ好きなだけ」

三田村にそう言われると、急に怖くなって掴んだ胸倉を放した。


俺は、やっぱり駄目だ。

「はい、そこまで!」


膝から崩れ落ちた俺に対して、三田村が嘲笑うかと思えば、空気が弾んで包み込むような声が室内に響いた。


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