高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



名雲家自宅(一軒家)。

名雲若菜は一人っ子、両親と三人の家族構成だ。


「若菜、最近学校どう?楽しい?」


「まあね」


「若菜も、もう18か。長いようであっという間だったな」


リビングでテーブルを囲み、テレビを観ながら夕食をとる風景は、何処にでも見られる極一般的な家庭だ。


「そういえば最近桐生善三社長の娘さん、桐生美玲さんが若菜の学校に転校してきたって、近所の奥様方が噂してたけど本当なの?」


「あたし知らないよ、確かに転校生が来たけどさ。桐生美玲みたいな御嬢様が一般の公立に通うわけないじゃん」


「それはそうだけど、事件があったじゃない。それから行方不明だって」

「母さん、こないだのニュースで戻ってきたって社長自ら公表したじゃないか。事件は無実だったし、御嬢様も反抗期の年頃だったんだよ」


「御馳走様っ」


語気を強め、桐生美玲の話題を遮るように若菜は食べ終わった食器をシンクに入れ、自分の部屋へ戻る。


「お風呂は?」


「お母さん先入っていいよ。あたし勉強あるから」


「そう、頑張ってね」


若菜は未だに両親に反抗したことがない、クラス委員も小学校から任命され続け、優等生を演じている。


「若菜は良い子過ぎて、逆に心配だな。なあ母さん」


「そうね、私達にはできた娘だわ」


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