高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



翌日、桐生美玲の仮住まい(名義人=遷崎徹)の玄関前。


尚輝と美玲は中野北高校の制服を着用し、鞄を肩に掛けて見送る中澤に、笑顔を見せる。


「尚輝、済まなかったな。結果的に君を苦しませてしまって」


「謝らないで下さい、過去は変えられないし、俺の人生終わったわけじゃないって解ったから」


「美玲ちゃんも協力有り難う」


「…………」


美玲は中澤に頭をゆっくり下げる。


「さて、そろそろ行くか。俺達の母校に」


遷崎、美玲、尚輝の三人はこれから因縁の中野北高校へ向かう。光村教頭の過去の過ち新たな悪事を止め、美玲の数々の非礼や尚輝の不当な退学を撤回させるのが目的だ。

「中澤先生、あんたは立派な先生だ」


「遷崎さん、よして下さい。私はもう……」


「この世を先に生きる者、良くも悪くも全てが先生、それが遷崎徹ジャーナリストとしての持論です。だからあなたは良い先生だ」


別れ際の遷崎の言葉に裏は無い、率直な意見に中澤は涙をこらえきれなかった。



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