高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



中野北高校3―Dクラス入口前。


この前退学届け提出して、二度と訪れることはないと思った教室に俺は今立っている。


隣には、この地元では知らない者は赤ちゃん以外いない超有名な御嬢様、桐生美玲。


普通に生活していたら、こんな風景はそうそう味わわない。


一人で登校してた時は身体が拒絶反応を引き起こし、直ぐに逃げ出したくなっていた。


今は全然そんな反応は起きない、隣に守りたい存在が出来たからだろうか?


定かではないけど、俺は間違いなく、足を前に出している。


自分が一番辛い状況に陥っているにも関わらず、美玲は俺を救うことに抵抗なく協力してくれた。

自分の家族が大変な時に赤の他人の俺に、フリージャーナリストは手を差し伸べ、土足で温もりを与えてくれた。


感謝してもしきれない。遷崎に言われたことを何度も復唱した。


“感謝する体力あるなら全力で生きろ”


俺は、もう一度だけ
人を信じたい
人を好きになりたい――。


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