高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



退学届を提出し、俺は肩の荷が一気に降りると思った。ずっと宙ぶらりんだったから、辞めたらすっきりすると。


けど校長室を退室し、昇降口で履き替え、校門まで歩く間の気分は何故か最悪だった。


自主退学したことを後悔してるとかじゃなく、ただ気分が悪かった。


これからどうするか、家にはなるべく居たくない。学校は辞めた、バイトするのか、学校さえ続かないのにバイトなんて考えただけで続くはずない。


だったらどう食べていく?親のスネを嫌味を言われる覚悟でかじり続けるのか?不安だらけの未来ばかり脳裏に過ぎった。

何かを辞めたら何かを得ることなんて必ずしも出来るわけじゃない。寧ろ色々失って影も形も無くなるのではないか。


ああ、そうか。

俺は中野北高校から

影も形も無くなったのか。


校門を跨ぐ瞬間、片方の瞳から虚しいものが込み上げた。


俺に明るい未来は来ない。


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