高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



「……辞めてきた」


玄関のドアを開けると、お袋が目の前に立っていた。俺は一言だけそう言って靴を脱ぎ、自分の部屋に向かうと痛烈な言葉が胸を貫いた。


「いつ、出てくの?」


もうこれだけで俺の居場所は、この家じゃなくなったと理解出来た。


反論する資格ない、勘当されても仕方ないことをしてきたんだ。


お袋は壁に手を掛けながら、他人のように俺を眺めていた。


俺は再び靴を履き替えて、何も言わずに飛び出した。


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