高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



――1ヶ月前(詐欺事件から2ヶ月後の5月)


中野北警察署取調室前。

「先輩、マジで不起訴処分なんすか?アイツは絶対黒ですよ」


「仕方ねぇだろ。上が決めたことだ、俺達が組織に属している以上、上の決定は覆らない絶対だ」

2人の刑事は世間を一時期賑わせた桐生財閥詐欺事件について語っていた。


「昨日、奴の顔を見ただろ。不起訴と訊かされた途端、笑みを浮かべた。裏で上を操作した証拠だ」


「権力が全てってことですよね。おまけに自分の娘が行方不明なのに平然としてやがる」


「確たる証拠が見つからなかったのも事実。柿田、お前あのジャーナリストの記事信じるか?」


「あれですか、桐生財閥の令嬢は実の娘じゃなく養子で虐待を受け続けていた」


「その娘は詐欺事件がきっかけで、本当の家族を探しに逃げ出した。俺は信憑性が高いと思う、この事件は……」


根っこから引っこ抜かなければ、闇へと消えるものだ。


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