高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



虐待は見えない部分、顔や腕、足には一切傷付けない。裸にならなければ判らない部分にだけ集中的に、殴打や蹴りを繰り返し行われた。


激しい痛み、痣や内出血が出来ても美玲は耐えた。涙も流さず、ジッと歯を食いしばり掌の肉に爪が食い込み切れるまで、虐待を受け続けた。


いつ終わるか解らない苦しみから逃れられるのか。


そんな淡い期待など、此処に居る限り、脆く崩れさるのではないか。


希望の光は自分にも照らしてくれるのか。


様々な想いが駆け巡りながら、一瞬の隙を待ち耐え続けた。


一瞬の逃げる隙、それが詐欺事件だ。


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