高校四年生(ラジオドラマ化決定!)



「これから共に行動すんだ、言いたいことあるなら遠慮せずハッキリ言いな」


「俺のこと、何処まで調べたんすか?ほら、公園でさっき俺について色々調べたって」


ただ気になった。俺がこれから先、生きていく上で絶対に知られたくない掘り下げられたくない“留年、不登校の理由”を遷崎はあんな短時間で調べ上げてしまったのだろうか、が。


「19歳、獅子座のA型、5つ離れた大手携帯会社グルーヴモードのショップ中野北支店で働く姉と電気店で店長の親父、元銀行員の母に愛犬ダックス「ブルーベリー」が居る。とあるトラブルが切欠にナオキは人間不信に陥り、不登校、留年、退学の道を辿り家を飛び出しフリージャーナリストの家へ居候する」


寒気がした、調べることを仕事にしている人間がこれほど怖いと感じたことはない。


コンビニで出会い、俺が帰宅し飛び出す間に調べた。発信源は誰かと尋ねたいが、口に出せなかった。身近な奴に違いないから――。


「オレは取材を通じて、学校関係者からナオキを調べた。だがナオキ自身を全て理解したわけじゃない。今述べたのは簡単な家族構成と最近の出来事だけ、客観的な取材だけでは人間の本質は見抜けない。それに知ったと言っても本人から直接訊いたわけじゃない、真実はいつも本人からしか語られない。だから教えて欲しい、ナオキの口からナオキに起きたトラブルを」


殻をこじ開けようと
外から声が聞こえる
殻の中で叫んでた声が
誰かに届いたのか
誰かが叫びに叫んでる
大空を観たくて――


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